新着：バドワイザー初期ラベル復刻缶

①初期ラベル復刻缶（2005.2発売）
②1936年発売のバドワイザービール缶

◆①は昨日バドワイザーの本拠地、米国セントルイスのコレクターから届きました。
復刻缶には缶切りを使った開け方のイラストも入っていますが、上ブタは手で開けられるステイタブです。
ローソン30周年で６月７日より、キリン「ハニーブラウン」の限定復刻缶が販売中です。
以前はは瓶の復刻ラベルがありましたが、缶でもどしどし出してもらいたいものです。

1945年製造のクルーガー缶

コーントップ、クラウンテナー、フラットトップの各缶（いずれも12FL.OZ）

戦時中のビール缶

右：軍用物資として、カムフラージュのため濃緑黄色（olive drab）にペイントされた缶
【目立たないように着色されていますので、写真では黒くすすけたように見えます】
左はデザインが似ている戦前の缶

第二次世界大戦によって配給制度がはじまると、ビール缶用のブリキ鉄板も例外なく
使用が制約され、缶ビールが軍用物資として優先的に供給されるに至り、アメリカ国内
向け缶ビールの製造は徐々に停止へ追い込まれました。

また戦争は、主にドイツを起源とするアメリカ国内のビール業界にもう一つの変化をもた
らしました。
全てのビール会社ではなかったのですが、敵国のドイツ語で書かれたビールのブランド
ネームを変えたり、ドイツに由来するマークをアメリカンスタイルに変えたり削除されたり
しました。缶に書いてあるドイツ語のスローガンは英語に訳されました。

戦時中のビール缶

右：軍用物資として、カムフラージュのため濃緑黄色（olive drab）にペイントされた缶
　　　【目立たないように着色されていますので、写真では黒くすすけたように見えます】

左はデザインが似ている戦前の缶

戦時中のビール缶

【カムフラージュ缶(フラットトップ）・12FL.OZ】

軍用物資として、カムフラージュのため濃緑黄色（olive drab）にペイントされたビール缶
　【目立たないように着色されていますので、写真では黒くすすけたように見えます】

第二次世界大戦中、約40社が１０億缶以上を製造し、世界中の米軍基地
へ供給された。

◆コレクターの間ではカムフラージュ缶(camouflage can)と呼ばれています。

戦時中のビール缶

【カムフラージュ缶（コーントップ）・12FL.OZ】

軍用物資として、カムフラージュのため濃緑黄色（olive drab）にペイントされた缶
　　【目立たないように着色されていますので、写真では黒くすすけたように見えます】

クラウンテナー缶

右の３種は、1940年から導入された「クラウンテナー」缶です。

クラウンテナーはクラウン（王冠）を使うコンテナー（容器）という意味の造語で、
コーントップの３ピース缶を２ピース缶にして、やや太くする代わりに高さを押さえ
コーントップと同じように王冠を使い、コーントップとフラットトップの両方のメリット
を生かした容器でした。

初期クルーガー缶の比較

左は、1935年発売の2代目の「Finest　Beer」缶。
右は、1939年発売の7代目の「Cream　Ale」缶です。

右：　Kマークの「K-Man」が帽子をかぶっていますが、発売翌年の1936年から
　　　変更されました。

缶切りの大きさ：　缶の開け方が定着した1937年から缶切りの絵が小さくなり、
　　　1938年にこの形になりました。

開け方の説明：　缶切りの絵が小さくなるにつれ、開け方の説明文字も、イラスト
　　　ワク外に表示されています。

1935年のビール缶

【1935年に製造されたビール缶・コーントップ缶・容量12FL.OZ】

コーントップとは、３ピース缶の上部が円錐形（Cone）になった缶の呼称です。
1935年にコンチネンタル製缶会社が開発した、缶のフタに壜と同じ王冠が使える
缶で、"Cap-sealld"缶の愛称でビール各社へ導入されました。

費用がかかるフラットトップ缶の缶詰設備を導入せずに、それまでの壜詰ラインを
使って缶詰ビールを造る、という発想でこの形（壜の形）になりました。

缶詰の製造能力が１分間あたり160本に対し、瓶詰ラインは120本であったため
コーントップ缶を導入したのは主に中クラスのビール会社で、販売数量が多い
ミラー社、アンハウザー・ブッシュ社（バドワイザー）、パブスト社、クァーズ社など
の大手はフラットトップ缶だけを採用しました。
大手で唯一の例外はシュリッツ社で、競合相手のパブスト社を意識して最初の
コーントップ缶を手がけました。

【写真左から】(全てコンチネンタル製缶の製造で各缶には年代が明記されています）

J.Schlitz Brewing Co.　　　Aug.27, 1935 　 初のコーントップ缶で平らな底ブタ
Duquesne Brewing Co.　　Nov. 2, 1935　 底ブタは内圧対策のため半球状
Berghoff Brewing Co. 　　 Nov.26, 1935 同上　（２種）
Rainier Brewing Co.　　　　Dec.7, 1935　 同上

世界初のビール缶

◆1935年1月24日、世界で初めての缶詰ビールが発売されました。
　 禁酒法時代に終わりを告げた1933年から缶詰テストが繰り返され、ついに
　 この日の発売となりました。
　 そしてその直後から、缶詰ビールの利便性が認められ、急速に全米へ普及
　 し、ビール業界の発展の基礎をつくりあげたといわれます。

　 ５０周年の1月24日はコレクタークラブの大々的なお祝いがあったので、今年は
　 ちょうど７０周年にあたり、何かイベントがあるだろうと、アメリカのコレクターに
問い合せたのですが何もないようでがっかりしています。


【写真：世界初のビール缶（２代目）】
左：クルーガー　ビール　Krueger’s Finest Beer【1935年6月発売】
右：クルーガー　エール　Krueger’s Cream Ale 【1935年6月発売】

２つとも「TAX PAID」の文字入りですので、1935年に製造された２代目の缶です。
初代にはCOOL　BEFORE　SERVING　の下の文字（INTERNAL　REVENUE　TAX　PAID）がありません。
右のエール缶はアウトドアーで土に埋もれていたもので、表面全体にサビが出ています。

世界初のビール缶

クルーガー　ビール　Krueger’s Finest Beer　【1935年6月発売】
　缶の側面に缶切りと開け方のイラスト・説明が書かれています。


【初めて製造されたビール缶と初めて市販されたビール缶】
（参考：BCCA 缶詰ビール発売50周年特別号 Jan 24 1985）

　1933年11月、世界で最初の缶詰ビールがアメリカ・クルーガー醸造会社
(G. Krueger Brewing Co.)とアメリカン製缶社（CANCO社）によって作られました。
　両社の文献によると、9月ごろから缶の製造が始まり、秋ごろ「3.2ビール」が
2000個のテスト缶に初めて詰められました。
　テスト缶と1935年に発売された缶はよく似ていて、違いはBEERの上の文字が
1935年缶ではFinestですが、この缶ではSpecialとなっています。
　【品名は Krueger's Special Beerでした】

　3.2ビール：　禁酒法時代の当時でもビールの醸造だけは許されていました。
ただし、アルコール度数は3.2％に制限されており、5%のビールは禁酒法が廃止
される1933年12月5日まで造れませんでした。

　CANCO社は1920年代後半から炭酸飲料の缶詰テストを実施しており、近くの
ニュージャージー州ニューアークにあるクルーガー社にビールへの採用を打診して、
缶詰ビールのテスト製造が実現しました。
　テスト実施にあたり両社によって缶詰技術の開発・改革が行われ製造工程が確立さ
れた後、缶詰機械設備はCANCO社からクルーガー社へ無償譲渡されました。

　そして、1935年1月24日バージニア州リッチモンドで、缶詰ビールが世界で
初めて市販されました。
　【品名はKrueger’s Finest Beer　と Krueger's Cream Aleでした】

缶ビール50周年記念缶

左：缶ビール発売50周年を記念して缶ビールが作られ市販されました。

右：発売当時の缶の複製ですが、複製缶上部の「SAME AS BOTTLE」の
文字から、モデルは1936年製造の３代目の缶と思われます。（ダミー缶）